ウォルマートが昨年度の決算を発表しました。
主要な数字をハイライトします。
【連結】
売上高:5,144億ドル(2.8%増)
営業利益高:220億ドル(7.4%増)
【米国ウォルマート】
売上高:3,317億ドル(4.1%増)
営業利益高:174億ドル(2.3%増)
既存店成長率:3.6%増
EC成長率:40%
【海外】
売上高:120億8,000万ドル(2.3%増)
営業利益高:49億ドル(-6.6%)
EC40%増がウォール街にウケて、ポジティブな見出しが躍ってます。
私としては、米国ウォルマートの既存店3.6%増に目が行ってしまいます。
また儲けは出ていないであろうストアピックアップを強化して、営業利益をプラスで維持している点を評価したい。
以下情報を共有。
グローサリーピックアップ可能店舗は2,100超、今年度末までにピックアップは3,100店舗、デリバリーは1,600店舗へ。
ペイレスシューソースが連邦破産法11条の適用を申請して破綻しました。
再生を目指さず米国内の全2100店舗を閉鎖するつもりのようなので、企業精算を検討しているようです。
ただし清算は米国内に限られて、海外店舗は存続する模様。
2017年に一度破綻していて、そのときは700店舗弱を減らしています。
言うまでもなく破綻の原因は競合で、ウォルマートやターゲットといった大手からザッポスといったネット通販企業まで、競合企業との差別化をはかることができませんでした。
いつものことながら、今年も年初に破綻する企業が続いています。
すでに記事になっているのでご存知かと思いますが、アマゾンがNYを第2本社とする計画を撤回するそうです。
反対している住民が多い、州議員の支援が得られそうにない、といったことが理由として指摘されています。
なぜ反対している人が多いのかというと、テクノロジー系企業に対する反感があるということを書いている記事を読みました。
ここに面白い記事があります。
Amazon in Its Prime: Doubles Profits, Pays $0 in Federal Income Taxes
アマゾンは米国連邦法人税を払っていないという記事です。
払っていないどころか、一昨年から2年続けて還付までされている。
この記事は事実の指摘のみで、どうやって還付までされているのかは書かれていませんが、どうやらトランプ減税には抜け穴がたくさんあるようです。
トランプは自分が払いたくないからそうした、とうがった見方をしてしまうのですが、そういうトランプ批判話はここではおいて、アマゾンは法的に問題ない方法で法人税を免れているということになるわけですね。
アマゾンという企業またはベゾスという人はそういう思想的背景をもった存在なのであり、そしてそういうことを知っている、または薄々感じている人が少なくない、だから好かれない、ということなのかもしれません。
プライムは便利だから使うけど、会社としてはあまり好きじゃない、という消費者は意外と多そうです。
このネタについてはもうすでにエントリーしています。
ウォルマートがスキャン&ゴーをやめた理由
これについて、すでに他社に移ったレジ担当の責任者がメディアの取材に答えているのですが、やはり万引きが理由なのでした。
事例として、100アイテムを買った人が、40アイテムしかスキャンしていなかったことがある、と。
社内会議で、スキャン&ゴーではなくて"ゴー"だけにした方がいいんじゃないかというジョークも出ていたということを言っています。
お客はスキャンしないから、という意味ですね。
ウォルマートは入り口にグリーターという名称の店員を配置しています。
出入店するお客への挨拶が表向きの役割ですが、主目的は万引きを減らすために買い物が終わって出る人のレシートの確認をすることにあります。
でも確認はしますがざっと見るだけなので、100アイテムすべてを確認するということはしませんよね。
同社はそのかわりに、店員に携帯決済端末を持たせるチェックアウト・ウィズ・ミーというプログラムをはじめています。
昨年1年間のオーガニック青果の売上高成長率は8.6%でした。
(オーガニック青果ネットワークとニールセンによる調査数値)
資料によるとグローサリーストアの売上高伸びは2%だったので、全体と比較すると4倍強伸びていることになりますね。
カテゴリー別に見ると、売上高トップはパックサラダの11億2000万ドルで、以下、リンゴ、にんじん、イチゴ、バナナ、と続いています。
伸びが一番大きかったのはブルーベリーの33.3%増でした。
オーガニック青果は青果市場の10%を占めるに至っているのですが、おそらくまだしばらくシェアは伸びていくことでしょう。
その背景には当然のことながら健康意識の高まりがあるのですが、もう一つは価格がどんどん下がっている点にあります。
通常の青果(英語のコンベンショナル型)との価格差は昨年は7.5%で、2014年の9%から1.5%縮まっています。
庶民でも手が届く商品になったことが高い成長率に寄与しているというわけで、これからもしばらくはシェアを増やし続けることになるでしょう。
今年も博多でセミナーを開催します。
日時:2019年4月4日13:15開始(17:30終了予定)
会場:福岡県中小企業振興センター
講演者:鈴木敏仁
矢矧晴彦(PwCコンサルティング合同会社)
受講料:1名様 18,000円(税込)
定員:40名
申込締切日:2019年 3月 15日
詳細やお申し込みはこちらからどうぞ。
グローバル流通最新トレンド2019
スーパーマーケット大手のハイヴィーが、期限切れ商品の廃棄問題でデジタルな実験を開始しました。
アプリ名はFlashfood、お客はアプリ内で大幅値下げされた食品を買い、店頭で受け取るという仕組みです。
店頭には専用のケースが用意されて、アプリを通さないと買えないようになっているようです。
Flashfoodを開発しているのはトロントの企業で、ロブロウやロンゴスといったカナダ企業はすでに実験中、資料ではターゲットも3店舗で実験中と書いてあります。
ハイヴィーもターゲットも本社はアメリカの上の方でカナダに近いので、カナダの企業が実験しているのを横目で見て、自分のところもやってみようということになったのでしょうね。
アメリカも廃棄ロスは当然のことながら悩みの種ですが、日本の恵方巻きのように社会問題化するほどでもないのは、予測の上に"根性"という売上目標を載せる日本のような習慣がかなり前に姿を消したからだと私は思っています。
流通業界が供給型から需要型へと変革してしまったということです。
生鮮の鮮度管理には、これからの時代、センサーが中心的な役割を果たしていくことでしょう。
つまり、デジタル化。
今回のアプリでの取り組みもつまりデジタル化。
廃棄ロスのデジタル管理という考え方がこれから必要になっていくのです。
CVSヘルスがモデルを使ったビューティ関連の販促写真のうち、デジタル加工していないものに"CVSビューティマーク"というウォーターマークを付けると発表したのが昨年の1月のことでした。
取り組みの名称はCVSビューティマーク・イニシアチブ、手を加えていない本物と、デジタル加工したものの、違いを消費者に理解してもらうことを目的として、2020年には100%とするというものでした。
画像修正による誇大なイメージ訴求が俎上に上がり、これに応じてCVSヘルスが取り組んでいる、というわけです。
1年を経た途中経過として発表されたリリースによると、"CVSビューティマーク"が付いている店頭で使う販促画像はまもなく70%となって、2020年を前にしてゴールを達成するだろうしています。
販促画像はメーカーが提供するものなのでメーカーの協力が不可欠ですが、大手ブランド企業の多くがコミットしていることが普及を早めています。
今はCVSヘルス内にとどまっているのですが、メーカーがこれから外へと広げていくのかどうか、興味深いところです。
ウォルマートがグーグルのショッピングアクションとエクスプレスから撤退しました。
ショッピングアクションは検索結果に表示された商品をスムーズに買い物できるようにするプログラムで、ウォルマートとターゲットが核企業となって、昨年の3月にスタートしたばかりです。
一方のエクスプレスはマーケットプレイス型の買い物サイトです。
ウォルマートにとっては、おそらく組むに足るほどの販売量がなかったのでしょうね。
グーグルはアマゾンに対抗するためにショッピングプログラムに注力していて、その戦略の中でウォルマートは中心的な存在だったので、これは結構痛手ではないかなと思います。
これで両社の関係は、グーグルアシスタントを使ってのボイスショッピング関連のみとなりました。
アマゾンが無人宅配ロボットの実験を開始しました。
名称はアマゾン・スカウト、場所はワシントン州スノホミシュ郡、稼働させる台数は6台。
実験中は担当者がロボットの後を歩いて監視するそう。
人間の徒歩スピードで歩道を走り、人間や犬といった障害物を避けて、目的の家に着くと通知を送り、ユーザーが外に出てきて商品を受け取る、という流れです。
クローガー、ウォルマート、そして一つ前のエントリーでも取り上げたストップ&ショップなど、実験する企業がすでに出てますから、いつアマゾンが始めるのかという状況でした。
規制でドローン宅配がまったく進まない中、無人宅配はどうやらこちらから普及が始まるような気配です。
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